4日が来るのはあっという間だった。
年末年始はお父さんたちの演奏がよくテレビで流れたから、
それを見ては家族で反省会。
そのだいたいは、両親のお兄ちゃんへの厳しい指摘なのだけど。
年賀状は例年通り、私以外の3人は恐ろしい数だった。
それは仕事柄仕方のないことなのだけれど、
海外からのニューイヤーカードは中々返せないから大変だった。
私には数少ない友人から20通ほど。
手書きのメッセージが嬉しかった。
その中に一枚だけ、
『TREASURE』
という差出人からの年賀状があった。
内容は、小さく謹賀新年と書かれた下に、大きく地図が印刷されていた。
そしてその隅の方に書いてある
『待ってます 岬 陽一』
を見て、これが事務所への地図なのだと分かった。
「『TREASURE』…」
宝物。
私は岬さんにとって、原石に見えていたのだろうか。
少し感じる不安を胸に、わたしは岬さんの待つ事務所ビルの前にいた。


