エンターテイナーズ




かしこまって話す岬さんや、
私の見慣れない《仕事の顔》で話を聞く家族の姿は、
何だか夢の中みたいだった。


私の話をしているのに、
ちっともリアルに感じない。


それはきっと、
これが夢だから―……


「―……珠季ちゃんはどうしたい?」


「………えっ?」


「これは珠季の問題だ。
私達が珠季の未来を決めてしまうのは良くない。

―君は、どうしたい?」




君ハ、ドウシタイ―?


私は、どうしたい?




「―……わ、からないよ…

私が芸能人、とか…
“リアル”に思えないし…」



息を零すように呟いた私の言葉に、沈黙が訪れた。




だって。

だってそうでしょう?


生まれてからずっと、私は一般人だった。


家族は有名だったけど、私はただの学生だった。


人より少しだけ音楽が得意な女の子だった。


休日には音楽を聴きながら、本を読むのが好きな女の子。


年に一度、家族みんなで演奏するクリスマス会を楽しみにしてる女の子。





―……スポットライトなんて、似合うわけない…