―――…
「―…それで、珠季を預かりたい、と言うのは?」
着替え終わったお母さんとお兄ちゃんもやって来て、
汐家+岬さんで円卓会議を始めた。
議題は、もちろん私のこと。
「…えぇ、私は芸能事務所を営んでおります。
所属しているタレントは現在107人おりまして、全員が男なんですが…
珠季さんの歌声に、業界人としての血が粟立ちました。
ぜひ、うちの事務所から彼女をデビューさせたいんです!」
―――……デビュー?
デビューって…
「それはつまり…珠季ちゃんを、
歌手にしたい、と…?」
―――……歌手
「………はい」
…それはつまり
私が、
汐珠季という女子高生が
《芸能人》
になるということ……―?


