おかんの黒歴史。
 いわゆる人には言えない過去のこと。

 おかんの実家は自営業で商売をやっている。
 その長女として生まれたおかん。
 当時には高級品だった、ベータのビデオがあって、ドラえもんなんかを録画して、店をあけているときはそのビデオが子守当番だった。
 そんな影響からか、おかん気がつけばそっちの道にはまってた。

 そう、いわゆるヲタク。

 中学生の時にアニメイトを教えてもらい。
 演劇部に所属していたのに、マンケンで漫画かいてたり。
 そのマンケンの友人に同人誌を教わり、どっぷりはまったのが中2の頃。
 まさに中2病。

 多分、実家にいけばみかん箱の中に、当時の痛い漫画とか小説とかまだあるのは知っている。
 だが、あれは封印した。
 二度と開けてはいけない。
 人目にさらしちゃいけない。

 初めは友人を交えて3人で、コピー本を何冊か作る。
 主によろず本。
 今でもそういうのかな?
 わかんないけど。
 3人とも好きな漫画とかアニメが違ったので。
 当時(今から20年ほど前)は、今ほどパソコンだのなんだのってありません。
 フロッピーディスクがレコードみたいだった時代なので、原稿はもちろん手書き。
 コピーするのにも一苦労。
 オフセットなんて高嶺の花。
 そんな時代でした。
 でも友達がおかんの家にきて、とまりで原稿書いたり、くだらない話するのは超楽しかった。
 よろず本のほかに、ひとりの友人と特定のアニメの本を出した。
 特定のものってそれぐらいかもしれない。
 その後、高校になって3人とも高校が別々だったので、あまり顔を合わせる機会もなく過ぎ去って。
 本も作らなくなった頃。
 ふっとオリジナルに目覚めたおかん。
 オフセットで作ることにしてみた。
 しかしオフセットでオリジナル。
 高校生のおかんにはハードルが高かった。
 漫画ならまだ、少しよかったかもしれないが………。

 それは小説本だった。