秘密と生きる君




俺がアキにときめいていた時、



「授業始めるぞー。席に着けー」



先生が入ってきた。

今から授業なのはいいが、生徒たちは担任の言葉も聞かないでしゃべったり暴れたりしている。

良い意味ではないが、ホント賑やかなクラスだ。
こんな中で授業は進むのか?

これまで、授業なんかしっかり受けたことはなかったが、ここまでひどい荒れようだと逆に不安になってきてしまった。



「ん?君が岡田先生が言っていた転校生かな?」

教卓の目の前に座っている俺に気が付いた担任は話し掛けてきた。



「あ、はい。高宮ハルといいます」

「よろしくなー。ところで、教科書とかはまだ持っていないんだよな?届くまで隣のやつに見せてもらってくれ」

「わかりました」



俺は顔だけを左に向けた。左隣にはアキが座っている。



「てことだから、アキ、見せてくれ」

「いいよ〜!あ、てか俺いつも使ってないからあげるよ!」

「いや、それは遠慮しとく……」



あげるって……。
アキの教科書はなくなっちまうのに……。

こいつ、普段からあまり真面目な方ではないんだな。


「バカか」

「いたっ!」



そんなアキの発言を聞いていた担任が、日誌の角でアキの頭を叩いた。

角は痛そうだな……。



「いったぁ!何するんですか〜!」

「このバカな頭を治してやろうかと思ってな」


担任が笑いながら言う。


「もっとバカになっちゃうし!」


叩かれた頭の部分を押さえながらアキは抗議する。



「さて、授業するか〜」



その担任の声と共に、授業が始まった。