秘密と生きる君




バンッ!!



乱暴に教室の扉が開いた。


「は……ッ、せ、先生!遅刻になりますか!?」

「篠原ー。いつもいつもお前は……」

「すみませんッ!明日はちゃんと来ますから!」

「明日は遅刻にするからな」


いきなり飛び込んできた生徒は『篠原』という名前らしい。
他の奴等と違って身なりはそんなに乱れていなかった。こんな高校でも、こんな普通な奴は居るもんなんだな。

彼は走って来たらしく、息を乱していた。

あれ……。
こいつ、見たことある気がする……。
気のせいなのか?

知らない街に知り合いなんか居ないはずなのに……。


「あれ、君……。さっきぶつかった人じゃない!?」
「え……」



息を整えた彼は俺を視界に入れると話し掛けてきた。
さっき……?

あ……!!



「あぁ!あの時ぶつかった……!この学校の生徒だったのかぁ」

「うん!君、転校生?」

「おぅ。俺は高宮ハルだ。よろしくな」

「俺は篠原アキ!」



お互い自己紹介を済ませると、アキは俺の隣の席に座った。



「お前の席、そこなのか?」

「そうだよ!やったぁ隣だぁ!ハル……って呼んでいい?」

「もちろん。俺もアキって呼んでいいか?」

「いいよ〜!てか、俺気付いたんだけど、俺もハルも季節の名前だよね!なんか嬉しい〜!」

アキはそう言うと足をバタバタさせた。

「そういえばそうだな。夏が抜けてるけど(笑)」

「ナツ君も転校して来ないかなぁ〜」



二人は笑い合った。

こいつ、良い奴だな。