弥生ちゃんとのやりとりを、聞いているんだわ……


洋子はそう思うと、胸の中にいいようのない怒りが込み上げて来た。


あるいは、自分の娘に『早く帰ってこい』という無言の圧力なのか……。


どちらにしてもこのテレビの音量も娘への暴力も放って置いていいわけがない。


そう、『知った』からには……。



「ちょっと佐野さん!ドア開いてますよ!テレビの音、うるさいんですけど!」


強気な性格も手伝って、思わず洋子は隣の、そのドアに向かって大きな声で叫んだ。


目の前にいた弥生が、ビクリと身を硬くする。