「弥生ちゃん……!!大丈夫?」


洋子は目の前に立っている隣に住む少女に声をかけた。


『まず最有力といわれている九州説ですが……』


テレビ音の中、佐野 弥生は痣だらけの顔を隠そうともせず、ペコリとお辞儀をした。


「弥生ちゃん、とりあえず中に入って?その痣、冷やさないといけないわ」


弥生は小さく首を振ると、真っ直ぐに洋子を見て言った。


「洋子おねえちゃん、夜遅くにごめんなさい。あの、単三乾電池ありませんか?」