泣いている弥生の涙を、オーガニックコットンのハンカチで拭きながら男は言った。 「これから幸せになるんだ、みんなで」 「みんなで?」 「弥生ちゃんと、弥生ちゃんのママと、みんなでだ」 弥生が男の顔をそっと見つめた。 「わたしの……パパになってくれる?」 男は驚いて、弥生を見た。 「わたし、知ってる。おじちゃんがママに優しくしてくれてること。この生八ツ橋も、おじちゃんがくれたんでしょう?」 死んでいる佐野 太郎を真っ直ぐ見て、弥生は言った。 「怖いお父さんなんて……いらないんだ!」 ・