男は弥生に言った。 「弥生ちゃん。隣には確か、優しいお姉さんが住んでいただろう?」 「洋子おねえちゃんのこと?」 「……隣の部屋に、借りに行って来てくれないか?」 『借りるもの』は別に何でもかまわなかった。 何処の家にもあるもので、借りに行く理由が今相応しいもの。 「単三乾電池を借りて来て欲しい。テレビのリモコンの調子が悪いみたいだ」 男は優しく弥生にそう言った。 ・