カギのかかったドア。


閉めきった窓。


密室の自分の部屋で、佐野 太郎は首を吊って死んでいた。







部屋の中は荒れていた。


割れた皿に、汚れた衣類。


そして、生八ツ橋が床に散乱していた。


しかしそれは、佐野 太郎がその日酒を飲んで暴れていたためのものだった。



弥生が言うには、この日も、「パパが買って来た」生八ツ橋を食べている途中で暴れ出したとのことだった。


盗まれるようなお金も品物も何ひとつこの部屋にはない。


不審な人物を見掛けた者もいない。


隣の住人、林 洋子は証言する。