「そう、それがいいわ。弥生ちゃん……その、大丈夫?」


弥生はハンカチを左の頬にあてながら俯くと、心細そうに口を開いた。


「洋子おねえちゃん……わたしがおうちに入るまで見ていてくれる?」


「もちろんよ」


洋子は笑顔で返事をした。


弥生が単三乾電池を持って帰らないことで、また父親が暴れるといけない。


先程、開いたドアとテレビの音量について怒鳴ってしまった罪悪感も手伝って、洋子は快く了承した。


弥生は安堵の表情を見せた後、ペコリと深いお辞儀をして洋子に背中を向けた。