夢の中で君に逢う度に僕は、泣いていたんだろうか?
物心が付く頃から表情が乏しかった僕。僕の知らない所で泣いていた僕は、どれだけ君が愛しくて泣いていたんだろうね。
「…一気に狩りますか。」
煩い爆音に、僕の意識と視線が流れた。千鶴は漆黒色の単車に跨って、その顔は楽しそうに歪んでる。
「遥、呆けてる暇なんかねーぞ。早く後ろに乗れ。」
僕はゆるりと立ちあがって、白の特攻服を手に取る。ソレをバサリ、と羽織って千鶴の後ろに腰を下ろせば。漆黒の単車は、更にその体から低い唸り声を上げた。
「ー…目指すは悪戯本拠地。てめぇら、しっかり付いて来いよ!」
千鶴の叫び声に、数百人の男達の叫び答える声が上がる。
僕達は動き出した。
出逢った事も運命で。争う事も運命なら。僕達は何所へ向かえばいい?
もう止まる事なんて、出来ない。

