天然なあたしは悪MANに恋をする

あたしたちは、青いツナギの人たちに鞄を奪われた

車で40分は走っただろうか

去年、廃校になったばかりの中学校の体育館にあたしと3年の先輩が連れ込まれた

体育館には、40人から50人くらいの男たちが、同じ青いツナギを着てくつろいでいる

なに…ここ…

あたしは大男に引きずられるまま、足を動かして体育館の奥へと進んでいく

体育館の壇上には、なぜか高級そうなソファが一つ置いてあり、そこに一人の男が足を組んで座っていた

「やっと来たか。待ちくたびれた」

あたしと3年の先輩を見たソファの男が、口を緩めて笑った

「すみません。朝は道が混んでて、時間を食っちまいました」

3年生の先輩を掴んでいる身体の細い男が、深く頭を下げた

「ほら、ノボルさんの前だ。頭をさげろ」

あたしは、大男にぐいっと頭を押さえつけられる

ちょ…痛いよ

「まあ…いいさ。どうせ、奴らがここを嗅ぎ付けても、多勢に無勢だろ」

ノボルという男は、くすくすと肩を揺らして笑った

「来ても、立宮兄弟と崎だけだろ?」

ノボルがソファにふんぞり返って口を開いた

「いや…弟は頭から血ぃ流して、意識がぶっ飛んだはずっすから…来れませんよ」

「んじゃ、立宮兄と崎だけか。問題ねえ」

ノボルが嬉しそうに微笑むと、大きく息を吸い込んだ

「で? 立宮弟の女ってヤツは?」

「あ、こいつです」

あたしは大男にぐいっと前に押し出された

手足を縛られているあたしはまるでボールのようにごろりと前に転がった

「ふうん。幹部連中の好きにさせろ」

「はっ」

大男が返事をすると、いやらしい笑みでにやっと笑った