天然なあたしは悪MANに恋をする

あ、赤いネクタイだ

この人3年生だ

「あの…これって」

3年生の先輩も首を横に振った

ちらちらと前に座っている男たち3人の動向を窺いながら、先輩が口を開いた

「わからないわ。学校に登校してたら、急に背後から掴まれて、車に詰め込まれたから。でも青族の人たちだわ」

「青族?」

あたしは青いツナギを眺めた

青いから、青族?

「暴走族のこと。ここら辺の地域は、赤と青と黄の3つに分かれた暴走族同士が張り合ってるのよ。力関係的には、赤が一番、青が二番、黄が三番よ。いつも赤と青が喧嘩ばかりしてて…」

先輩が言葉を区切った

青いツナギの大男が、振り返った

「あんた、意外と詳しいなあ」

「当たり前じゃない。ギャンブル店のバイトをしているのよ」

「だが、族の順位を間違えてるよ。一番が青で、二番が赤だ。赤は腰ぬけばかりだ」

なんか、あたし…場違いな気がする

全然、わからない世界に無理やり押し込まれたみたいな…そんな感じがする

「おいっ! 女どもを縛ったのかよ」

運転席にいる男が、不機嫌な声をあげた

「まだっす」

「馬鹿か、さっさと縛れ」

大男は「はい」と返事をすると、車の中にすでに用意されているロープで手足を縛った

抵抗しようとしたが、力の差がありすぎて、全然叶わなかった