じゃあ、なんで?

なんでレンは、おばさんに誤解されるような発言をしたの?

まだ恋人がいるって、おばさんに知られたくないだけ?

年上の彼女がいるって、言いたくないだけ?

それであたしを利用したの?

忘れようとしているあたしを…使ったの?

わかんないよ

レンの気持ち、考えが、全然わからないよ

それとも、これがレンなりの幼馴染として対応なの?

もう『好き』と言わないあたしを、幼馴染として接してくれたってこと?

何のヤマしい気持ちがないっていう表れっていう意味?

嫌わないで…幼馴染として接してって言ったあたしへの答え

気を許しあえた友人だから、家に泊まったくらいじゃ全然、あやしくないとか…そういうことなのかな?

そう…やって、無理やりにでも理解しようとしないと…また期待しちゃうよ

嬉しさがこみ上げて、顔に出ちゃうから

気をつけないとね

レンにもう迷惑をかけたくないし、嫌われたくない

今度こそ、もう「好き」って言っちゃいけないんだ

言ったら、幼馴染という地位さえも失ってしまう

「ミズちゃん?」

おばさんが、心配そうな顔をしてあたしの顔を覗き込んできた

「おばさん、ご飯食べないと…遅刻しちゃう!」

「ああ、そうね。急ぎましょ」

あたしは無理やりに笑顔を作ると、パタパタとスリッパを鳴らしてキッチンに向かった

大丈夫…きっと、レンと仲の良い幼馴染に戻れるよ

あたしが、気持ちを切り替えればいいだけの話なんだから…