あれ?

でもなんで、あたしが青族の人たちに拉致されたって知ってるんだろう

「ねえ、なんで知ってるの?」

あたしは首を傾げながら、隣の席の子に質問した

「え? 知らない人なんていないよ」

「どうして?」

「新聞部の掲示板、見てないの?」

クラスメートの言葉にあたしは、頭に疑問符が浮かんだ

新聞部の掲示板って?

「あとで見に行ってみなよ。昨日のことが詳しく書かれてるよ」

あたしは頷くと、まだ教卓の前で怒られているレンの背中を見つめた

新聞部って何だろう

昨日のことが詳しくって…いったいどこまで詳しく書かれているの?

どうして新聞部は、昨日のことを知っているの?

わからないなあ

休み時間になったら、新聞部の掲示板に行ってみよう

行けば、きっと何かわかるよね?

皆がどこまで知っているのかも、理解しておきたいし

「妃木、平気か?」

崎先生が、レンの脇からひょいと顔を出すと、あたしに聞いてきた

心配そうな顔をしている

「あ、はい」

あたしは慌てて頷いた

「先生、俺の心配はしてくんねーの?」

レンが、不満そうに口を開いた

「するか! 俺は女子にしか優しくしねえんだよ」

「うわ…堂々と贔屓発言だよ」

「堂々と遅刻してきたお前に言われたくねえよ」

レンは、崎先生に教科書で額を叩かれた

「さっさと席につけ」

「はあい」

レンは気だるそうに返事をすると、自分の席に歩き出した

「んじゃ、授業を始めるからな」

崎先生が、教科書を開いた