天然なあたしは悪MANに恋をする

学校の正門近くに来ると、一時限目の授業の鐘の音が聞こえた

ああ、やっぱり遅刻しちゃったよ

急いで歩いたつもりだったんだけど…

あたしはレンの横顔を見つめる

レンは前をじっと見たまま、視線を動かさない

あたしもレンの見ている先に視線を動かした

「立宮先輩?」

あたしは頭に包帯を巻いて正門に突っ立っている立宮先輩に、胸の奥がツキンと痛みが走った

昨日の青族に襲われて以来、先輩とは会話をしていない

レンが、あたしの肩から手を離すと、一歩前に出た

「菅原には話はねえよ」

立宮先輩がぶっきらぼうに声を出す

「あんたのせいで、ミズが怖い目に遭ったんだ。あんたにミズを近づけさせるかよ」

「今日で最後だよ。話をさせろ」

「嫌だね。話をするなら、俺がいるところにしろ。昨日みたいなことがあったら、困る」

立宮先輩がポケットに手を突っ込むと、「ちっ」と舌打ちをした

「わーったよ」

立宮先輩の視線があたしに向く

あたしはびくっと肩が震えた

「俺のせいで、怖い目に遭わせちまって悪かった。もう瑞那には近づかないから」

立宮先輩が、ふっと笑みを見せると、学校には入らずに、スタスタと正門から離れていく

え? どこに行くの?

「先輩っ! 学校は?」

「退学したよ。瑞那には近づかねえって言っただろ」

立宮先輩が背中を向けたまま、口を開くと、手をひらひらと振った