天然なあたしは悪MANに恋をする

怖いっ、行きたくない

大丈夫…昨日とは違う

何も起こらない

行かなくちゃ…という気持ちと、昨日の恐怖心が蘇ってあの道を通りたくないという気持ちが、あたしの心の中で入り混じる

「怖いのか?」

レンが、ぐっとあたしの肩を抱き寄せてくれる

「ごめっ…」

「謝るな。遠回りするか? この道を通らない行き方だってある」

「でも…そんなことをしたら遅刻しちゃう」

「遅刻? それがどうした? 恐怖心を無視して、身体に負担をかけるよりいいだろ」

「レンだけでも」

「嫌だね。俺もミズと一緒に遠回りをする」

レンがあたしの肩を抱きしめたまま、身体を回転させた

「今日の一時限目って、崎先生だろ? 少しくらい遅れても怒られねえよ」

「怒られるよ」

「事情を知ってるんだ。平気だろ」

あたしはレンと一緒に、路地を曲がった

青族に襲われた道を避けて、遠回りをする

昨日のことなのに、身体が恐怖を覚えている

忘れてしまいたい

登校のたびに、思い出し、苦しい思いをこれから卒業まで抱えないといけないのだろうか?

「レン、あたし…」

「無理するな」

レンの大きな手があたしの頭を優しく撫でてくれた