先輩は一瞬困ったような顔をしたけど、すぐにいつもの優しい笑顔に戻りこう言った。
「ありがとな。
俺女友達少ないからさ…
陽菜ちゃんみたいな子がいてくれると、心強いよ。」
思いの丈を、一気に先輩にぶつけた。
少しでも役に立てたらと必死で伝えた思いを、先輩は温かく受け止めてくれた。
あたしにも出来ることがあるんだって、自信がもてた。
先輩と出逢ったことで
消極的でネガティブなあたしは変わることが出来た。
今度はあたしが
先輩に何かをしてあげたい。
『あたしでよかったら、いつでも相談してください。』
「おう。
…紗季待ってるから俺行くな?気をつけて帰れよ。」
そう言って先輩は手を振って…あの人の元へ行ってしまった。
その後ろ姿が、あたしの心を切ない気持ちでいっぱいにする。
どんな時でも優しい言葉をかけてくれる先輩は
例え違う誰かのものだとしても
やっぱりあたしの大好きな人。
