『先輩!!
少しだけお時間いいですか?』
…言えた。
言ってしまえば、スーッと心が軽くなる。
緊張で先輩の顔が見れなくて、俯いたまま先輩の返事を待つ。
先輩の表情が見えない分
返事が怖い…
「…ごめん。
彼女、待たせてるから。」
少しの沈黙のあとの、その返事にチクリと胸が痛む。
けれどそれは最初から覚悟してたから、少しはダメージ少ないかな…。
こうなることを予想して、こうして部室の前で待っていた。
ここで諦めて、せっかくのチャンスを逃すわけにいかない。
『少しでいいんです。
5分、いや3分だけ…!』
少しのわがまま
図々しいのは分かってるけど、今回は許してください。
先輩はあたしの気持ちを察したのか、少しだけ柔らかく微笑んで頷いてくれた。
「分かった。」
