・・・
「はぁ……。」
部員がぞくぞくと部室に入ってくるそんな中、あたしの耳に聞こえてきたため息。
それをあたしは聞き逃さなかった。
いや
聞き逃すはずがなかった。
そのため息の先にいるのは、紛れもなく先輩の姿。
いつもならため息なんて絶対につかない人なのに。
今は思い詰めたように
そして、どこか悲しそうに
携帯の液晶画面を見てる。
先輩の周りの空間だけ冷たい空気が流れていて
あえてみんなはそれに触れようとはしない。
…きっとみんな、先輩がどうして元気がないか知ってるんだ。
きっと
触れちゃいけないことだって
知ってるんだ…
