そうだよ…
何を焦っていたんだろう
あたしのほうが先輩といられる時間が多いのに。
きっとあたしは、先輩がもう手の届かない所―彼女の元―に行ってしまうんじゃないかって
不安だったんだ。
「ゆっくりでええねん。」
その言葉であたしの中の、細くて脆い1本の糸が切れた音がした。
不安や嫉妬、悲しみで絡みあっていた醜い糸。
ほどけた糸は、瑛司の言葉の温もりに溶けて癒しをもたらす。
『…あたしまだ、チャンス、あるかな?』
また涙が溢れだす。
今日だけで何回泣いたんだろ…
思ったよりも泣き虫な自分を知ったあたしはより強く
強くなりたいと願う。
「いっぱいある。
…ただ、1つだけ忠告。
先輩の前では、絶対泣いたらあかんで?」
