「陸人ー、サボってんじゃないだろーなぁ!」 甘い空気が流れつつあるところに、部長のドスの聞いた声が届く。 「やっべ、部長怒るとめんどくさいんだよ。 手当てさんきゅーな!」 そう言って先輩は引き止める間もなく、またしてもあたしに悩殺スマイルを残して出ていってしまった。 『………。』 先輩に触れられた髪は、まだ微かな熱を残していて… まだ冷たい心に、小さな光を灯していった。