Secret Heart




『じゃあ、また出直します。』



それだけ言って、あたしは自分の教室へと引き返した。









出直すなんてのはウソだ。



きっと今日も病院にいて
サキちゃんを看病してるって



分かっているから…







『ただいま。』



「随分早かったじゃん。」



教室に戻ると、凛ちゃんが不思議そうにしていた。




『…先輩、いなかったから。』



「そっか。
じゃあ、また明日だね。」



『…うん。』




自分の席についてから、ふと思った。





“本当に明日でいいのか”




だって

先輩が明日も来なかったら



どうする?




こうしている間にも

サキちゃんと先輩に切れない絆が生まれていたら…



どうする?