「もう…朝になっちゃったぁ」

ため息をつきながら新しい制服に着替えた涼香。

「おはよぉ。あ、涼奈姉」

スズナ

涼香の唯一の姉で、とても仲がいい。

「おっはよー!なんかテンション低いわね?」

「だってぇ…」

「なぁに涼香ちゃん。嫌なことでもあるの?」

「そうだぞ!今日は入学式だっていうのに…」

あっちからこっちからと声がかかり、涼香が混乱する。

「パパは行けないんだから黙っててね??」

「はい…美香さん」

ミカ

涼香の母の名前だ。

「さっすがママ♪」

美香がズバリと言うと、横で涼奈が関心する。

「そんなことないわよー」と笑いながらキッチンから出てくる美香。

「はい、朝ごはん食べちゃいなさい☆」

「うん!!」

いい香りのする朝食に不安が打ち消される。

「いいわねー女子高生♪」

「涼奈姉だってこの前まで高校生だったじゃない」

「もう大学生な・の☆いい加減お姉ちゃんって呼びなさい!」

「ふぁーい」

ご飯を詰め込み、バタバタと準備を始める。

「涼香ちゃーん行くわよ!」

「待って待って!」

バタバタ

涼香は階段を一気に駆け下りた。

「ほらほら行きな!高校生っ」

「お姉ちゃんは大学生じゃん!いってきー」

新品のローファーを履き玄関を出た涼香。

「いってらー」

涼奈はそれを何も知らずに見送った。

…ジュースを飲みながら。