「さぁ、これで大丈夫よ!クヨクヨするのはここまでね!珈琲を淹れるわ。」

小さく頷く私に

「凛ちゃんは幸せになるわ。あなたにはその資格があるから。
怖がらないで大丈夫よ。今は暗い部屋にいても、扉を開けたら外は明るいものよ。」

と、力強く言ってくれた。
こんなに人の言葉に重みを感じたのは初めてだった。
私はそんな言葉をかけてくれる人がいる事が凄く嬉しかった。

「私、今でも幸せですよ。」

私がそう言うと、有紀さんはニッコリして、カウンターの奥に入っていった。


幸せだなんて……口に出しちゃえば安っぽいな……


一人になると、私は隣りに座っている慶太をギュッと抱き寄せる。

頬に慶太の柔らかい髪が触れて気持ちいい。


泣いても悔やんでも、明日はまたやってくる。

慶太………明日は今日より笑えるよね?


私は泣いて腫れぼったくなったまぶたを閉じた。