「凛!ちょっと待って!話、ある。」

放課後、ソワレに直行しようとしていた私を、亜弥が呼び止めた。

亜弥の表情は見た事ないくらい険しかった。

「何?どうしたの?」

私がそう言うと、

「いいよね、あんたは。」
と、恭子の冷たい声がした。

教室の中にはまだ人が沢山いる。

ただならぬ様子に、私達の横をわざとらしく通る子もいた。

「親友が受験で切羽詰まってんのに、あんたは坂口亜由美と毎日のんびりお茶してんでしょ?」


沈黙が周囲を支配する。


「サイテー。」


低い声で放たれた恭子の言葉に唇が震えた。
今日のお昼、一緒にお弁当食べたよね?

その時はいつも通りだったよね?


私の脳裏にはほんの数時間前の3人の様子が鮮明に浮かび上がる。