結局、和也の夢を自分の夢だと勘違いしていた私は、無気力なだけになった。

生活の全てが和也中心だったから、和也のいない日常は色を失っていた。


何もない、グレーな世界に私は一人投げ捨てられたようだった。


「でもね、慶太に会った時にね、この子は何か変えてくれるって思ったの。」

私は隣りに座っている慶太のほっぺたを撫でた。

「実際、ちょっとづつだけど、忘れてきてたんだよ。」

「凛……ごめんね。亜由美が変な事聞いちゃったから……」

「ううん。亜由美も話してくれたでしょ?私も過去に向き合ってスッキリしたかったの。」

「そっか………。」

「それにね、いつか和也がなんであんな事したか分かるようになる時が来るから。」

「…うん。そうだね。」

亜由美はそう言って微笑んだ。