妙に足元がやわらかい。

「優奈。ちょっと。」

私が木の陰から顔を出して手招きをすると、優奈はスカートを掃いはがら小走りで駆け寄ってきた。

「どうしたの?」

私が何も言わずに、足元を指差すと優奈がみるみる笑顔になる。

「凛……これって。」

「うん。……ほら、いこう!手紙書いてないでしょ?教室にノートあるから、戻ろう!」

私は、優奈の手をとった。

優奈は笑顔で頷いて、私より先に教室へと走りだした。


私は優奈に手を引かれながら、もう一度後ろを振り返った。



あの大きな木の下の一部が、つい最近掘り返したように、周りの土とは違う色になっていた。


それは、亜由美がここに来た証拠。

そして、まだ私達が友達と呼び合っていいという証拠だった。



この青空は有希さんの笑顔。私にはそんな気がした。