私が亜由美を連れてくると、優奈が何かの本を握って待っていた。
有紀さんは雪乃ちゃんを抱いている。

亜由美はいざ優奈の前に立つとやっぱり気まずいらしく、私の後ろに体を隠してそっと様子を伺っているようだ。

「亜由美ちゃん……」

優奈が声をかけると、亜由美は私の手を強く握った。

「ほら、亜由美。」

私は、その手を引っ張って亜由美を促す。

「あのね、亜由美ちゃん。私、言わなきゃいけない事があるんだ。」

優奈はそう言って立ち上がり、亜由美に一歩歩み寄った。

「私ね、ただお人形が好きなだけなんだよ。だから、慶太くんみたいなステキなお人形がいたら当然実物を見たくなるの。つい、うちの子と並べてお写真も撮りたくなるし。
それが、マニア心なんだよ。
でも、その気持ちが亜由美ちゃんにとっては軽率な感じに取られちゃってたのかもね。
本当にごめんね。」

亜由美はただ頷いて優奈の話を聞いている。

「それにね、私わかっちゃったの。亜由美ちゃんが慶太くんのこと、大好きだって。
それも、本当の恋人のようにおもってるって。」

その言葉に、亜由美の体が硬直する。