無口な王子様

私が悶々としていると、優奈が突然立ち上がった。


「凛!亜由美ちゃんを呼んで。」

その声はいつもの優奈から想像も出来ないくらい険しかった。

「……え?」

「だぁかぁら!亜由美ちゃんに本当の事話すの。呼んで来て!」

優奈は一体何を考えているんだろう。

ただ、断れない空気なのは確かだ。

有紀さんも私に頷いてみせる。

「……分かった。ちょっと待ってて。」

私はしぶしぶカウンターの裏側に向かった。

背中に感じる視線を嫌というほど感じながら。