無口な王子様

亜由美もそれに賛同するように頷いている。

そこで、優奈が本題を持ち出した。

「私、今日は本当は慶太くんと雪乃ちゃんを会わせたくて来たんです。
……慶太くんに会わせてくれないでしょうか?」

優奈は真剣な面持ちで有紀さんを見ている。

すると、有紀さんは

「そうね……そうしてあげたいんだけど、私だけでは決めれないのよ。」

と、言った。

「え?でも……どうしてですか?」

困惑する優奈に、有紀さんは、

「慶太はね、私にとって凄く特別な存在なの。本当の息子のようにね。でも、私と同じくらい、凛ちゃんも亜由美ちゃんも大切に想ってくれているのよ。
だから、私が良くても誰かが嫌ならお断りしなきゃいけないの。」

と、優しい口調で答えた。