ら、拉致られろ…って。 「しっかり掴まらないと、振り落とされるぞ?」 そう言って、シャッと走りだす自転車の車輪。 あたしは、ただ先輩の背中に掴まってるだけで必死だった。 ドキドキとか、恥ずかしいとかより… 先輩の背中が何とも言えない淋しさに見えて。 逆にあたしが悲しくなってくるような、そんな背中をしていた。 一体、先輩はどうしたいのだろう。