「先輩……」



先輩は俯いたままの顔を、ゆっくり上げた。



「…やっと来た。」



そう優しく笑う先輩は、どことなく寂しげで。


「…誰か、待ってたんですか?
チャイム、鳴りましたよ?」



先輩はハハハと空笑いして、



「アンタが遅いからだろ。」



と、立ち上がって



「…ちょっと、学校サボらない?」


「あたし、一番大事な時期なんですけど…」



…先輩は横にあった自転車を指差す。