「…柳沢先輩……。」 辺りには、騒々しい車やトラックの音が響く。 信号の向こうには、柳沢先輩。 友達でも待っているのだろうか? いや、もう信号を渡る学校の制服を着た生徒はあたしだけしか見当たらない。 「まさか……」 信号待ちは、やけに短く感じた。 「…………」 あたしは信号が青になったが、渡らなかった。 先輩は、ずっと座ったまま俯いたままで、あたしの存在に気付いてない。