「…あ、康介。」 ベンチで胡坐をかいて空を眺めていた柳沢先輩が康介を呼ぶ。 「なんすか?」 「…また、その子連れてサッカーしに来いよ。」 軽く微笑んで、じゃあと夕陽に背を向けて帰っていく先輩。 「…おい、亜美行くぞ。」 「え、あぁ、」 「ボケッとしてんじゃねぇよ。ボケ子。」 そんな憎まれ口より、ボケッとしてたのは… あの無愛想な柳沢先輩が、初めて微笑んだ顔を見て、ドキッとしたからだよ。