あの先輩の名前はハッキリ覚えていた。 胡王 太郎。 読みはコノウ タロウって珍しい名字だったから。 なんかコノヤロウって感じがして笑ってたっけ。 「…じゃあ俺も帰ろうかな。亜美は帰るの?」 康介が自転車の鍵を取り出して、あたしを見る。 「ん。帰る。」 即答して、自転車置き場に向かう。 高梨先輩と、胡王先輩は先に帰って行った。 残されたのは、あたしと康介と無愛想な柳沢先輩。