それにしても…何故兄は、こんな場所に居るのだろう。 兄は此処から30分くらいの所に住んでいるのに。 「どうしたの?」 「実はこれが雫宛に来てたんだ」 兄は明に挨拶することなく、私に手紙を差し出した。 違和感を覚えながらも、その手紙に手を伸ばした。 ……! 兄の心の声が、一部分漏れだしていた。 そう、ほんの一瞬。 ということは、故意に隠しているということになる。 ――憎しみ 兄から伝わってきたのは、それだけだった。 今まで感じたことのない強い気持ちに、手が震えた。