わたしたちは、ただひたすら夜を恐れて抱き合っていた。

暗闇に灯るただ一つのロウソクの光だけを頼りに。

―――神様、どうかエリザをお護りください。

今はただ、神に祈るしかなかった。

……ジャンヌ。

心配かけてごめんね。

「エリザ、そろそろお客様のお出でだ。出てきてもらおう」

扉の隙間から、シセの有無を言わさないというような高圧的な声。

心配でエリザの袖をぎゅっと握りしめると、彼女は蒼ざめた顔で力なく笑った。

「大丈夫。どんな男でも、わたしの夫なのだから」

立ち上がって歩くエリザの足はふらついて覚束ない。

「…エリザさん!!」

振り返ったエリザは笑顔で涙をこぼしていた。

「ミシェル。必ずここから出してあげる。だから待ってて。…ありがとう」

……エリザ……さん…。

そして、エリザの微笑みとともに、扉は再び固く閉ざされた。