あれから何時間がたったのだろう。

わたしとエリザは暗い地下室で毛布だけ与えられて、いつの間にかうとうとと眠りに落ちていた。

冷たい床で冷え切った体の震えで、わたしは目を覚ました。

「…エリザ…さん?」

隣で寝ていた彼女はわたしの小声にピクリと反応し、起き上った。

「…ミシェル…もう朝かしら?」

周りをどんなに見渡そうとも、朝の木漏れ日も、青い空に流れる雲も見ることができない。

「…たぶん。だってお腹が空いてるもの」

その瞬間、わたしのお腹がグーとなって、エリザもわたしも思わず声を漏らして笑った。

「…あはは。ミシェルは本当にかわいいわね。男装も素敵だけど」

ヒゲは取れて髪も降ろしてしまったけど、まだ男物の服を着ていたことを思い出した。

そういえば、カミーユはどうしているだろう?

突然わたしとエリザがいなくなって探してくれているのか。

それとも、そんなことにも気付かずに娼婦と楽しい一夜を過ごしていたのか。

な…なんか、想像すると腹たってきた…!

「…カミーユのばかっ!」

突然立ち上がって壁を蹴ったわたしに驚くエリザ。

「…どうしたの?カミーユが何か?」

「な、なんでもないです…」