†神様の恋人†

通された部屋は至ってシンプルで、飾り気がなく、窓一つない部屋だった。

壁際に置かれたベッドに向かうように、その女性は床に足を投げ出して座っていた。

白のシンプルなワンピースを着て、栗色の巻き毛は心なしか乱れている。

ドアの閉じられた音に、彼女はゆっくりと振り向いた。

「……いらっしゃい。あら…まだ若いのね」

彼女は少しも驚いた様子もなく、そう言った。

少し暗いブラウンの瞳がわたしを見つめる。

透き通った肌は、蒼ざめているようにも見えて、でもその病的なところが、色っぽくもあり儚げだった。

綺麗な人だと、思った。

……この人が、カミーユの元恋人……。

「ねぇ。少しお話しましょう。こちらへ来てくださる?」

ニコリともしない彼女の言うがままに座ろうとして、女の子座りをしようとしたわたしは、慌てて男らしく片膝を立てる。

「本当に若い。それに、とても純粋な瞳。ねぇ、あなたラファエルって言うのね。“癒しを司る神”…あなたにぴったりだわ」

間近で見る彼女は、まだあどけなさを残した少女だった。

気品すら漂わせる話し方からは、心を病んでいるなんてとても想像できない。