「あれ?ジャンヌ、今日はフランクと約束してるんじゃなかった?」

家の裏手の庭で仰向けになって空を仰いでいるジャンヌを見かけ、声をかけた。

「うん、でもあまりにも風が気持ち良くて、お昼寝しちゃってたとこ。約束は14時なの。もう少ししたら行くよ」

「そう。わたしは今日はジャンたちと羊番だから行くね」

「行ってらっしゃ~い」

わたしはなぜか、フランスの青い風は、ジャンヌに一際優しい、そんな気がした。






わたしが、“誰のものでもない”ジャンヌ・ダルクを見たのは、





―――――――それが、最後だった。