†神様の恋人†

「…ジャンヌはまだ恋を知らないと思う。でも、フランクなら、ジャンヌだって好きになるかもしれない」

本当にフランクなら、と思った。

ジャンヌが誰かに恋をする姿を見てみたい、とも思った。

「そう。ならミシェルも賛成ね。みんな、妹のお墨付きがでたわよ！」

アンヌの合図を機に、３人が一斉に「よしっ！」と気合の声を上げる。

するとアンヌが立ち上がり、二人に向かって歩き出した。

「ジャンヌ！わたしたちもう疲れちゃったから今日は帰るわね！」

ジャンヌとフランクはダンスを止め、きょとんとわたしたちを振り返った。

「アンヌ？ずいぶん早いじゃない。具合でも悪いの？」

心配そうにアンヌを見つめるジャンヌに、彼女は違うというように大きく手を振って笑った。

「フランクは今日はむしゃくしゃすることがあってたくさん踊りたい気分なんだって。悪いけどもう少し付き合ってあげてね」

そう言ってアンヌはわたしの横まで来ると、わたしの耳に顔を近づけて囁いた。

「もう少ししたら、そ～っとわからないように消えるのよ。いいわね？」

最後ににっこりと微笑んで３人は木立の中へと消えていった。

取り残されたわたしとジャンヌとフランクの３人の間には、しばらく気まずい緊張感が流れていた。

でも、フランクは再びジャンヌに手を差し伸べて言ったんだ。

「ジャンヌ、踊ろう」