森に着くと、ジャンヌの友人の少女アンヌ・フローラ・ニーナが待っていた。

みんなジャンヌと同じ歳で、とても気立てのいい少女たちだ。

「ジャンヌ~今日は特別にフランクを連れて来ちゃった。いいでしょ?」

アンヌが意味ありげにニヤリと笑うのを見て、ジャンヌは不審げに眉を寄せた。

フランクはこの村の村長の息子で、村では一番の金持ちで権力者の息子だった。

歳は15歳で、とても真面目で頭も良く、爽やかなタイプの少年だ。

フランクは少し頬を赤らめて、ジャンヌの前までやって来た。

「ジャンヌ、急に来て悪かったかな?」

ジャンヌは少し間を置いて、でもすぐに頬の硬さを緩めた。

「悪くないよ。村の外の流行りのダンスを教えてくれるならね。女の園へようこそ、フランク!」

ニッコリとフランクに差し伸べられた手を、フランクは嬉しそうに取った。




「ね、フランクってジャンヌに恋してるって思わない?」

仙女の木と呼ばれるブナの木の周りで踊るジャンヌとフランクを少し遠目に見ながら、アンヌたちが囁く。

「フランクの態度がおかしいと思ったから今日誘ってみたの。あれはどう見てもジャンヌにべた惚れよ」

「ね、くっつけちゃおっか?どう思う?ミシェル」

アンヌが横に座って休んでいるわたしに囁きかけてきた。

とても楽しそうに足をリズミカルに跳ねらせて、木を挟みながらもお互いを見つめつつ踊るジャンヌとフランク。