†神様の恋人†

「キ、キスって、え?いつ…!?」

そ、そういえば唇にかすかに温かなぬくもりが残っているけど、さっき口から空気が入ってきたのは、ま、まさか……!!

わたしまだ11歳なのに、そんなのってないよ!

か、神様~!!

真っ赤になって泣きそうになったわたしに、彼はつけていた外套を濡れたわたしの肩にかけた。

「…え、あ、あの…」

「う~ん、残念だな」

「…え?」

……なにが?

「君、いくつ?」

「11歳ですけど…」

「…11歳か、そりゃ無理だな」

…だから何が?

彼は立ち上がると、遠い空を見つめるように天を仰いだ。

「せっかくキスしたのに、子供じゃ欲情しねぇ」

「!?」

……か、神様、こんな男にわたしは唇を許し、初めてのキスを捧げてしまったというのですか?

寒さ以上に怒りで肩が震えて、わたしは思わずかけてもらった外套を彼に投げつけていた。

「よ、欲情って…わたしはそんな俗世なものとは無縁なんです!!いくつになろうが、わたしはそんなものとは関係ないわ!!そんなもの神への冒とくです!!」