†神様の恋人†

わたしは馬に括りつけていたジャンヌの着替えを手渡した。

ジャンヌは芯から凍えている様子で、顔も蒼白だった。

わたしだけがジャンヌに付き添い、ジャンヌの肩を抱きながら木陰へと連れて行く。

心配そうに見つめる警護隊を背に、わたしはジャンヌに話しかけた。

「ジャンヌ、大丈夫?…わたし、怖かった。ジャンヌが死んじゃうって……でも、カミーユが助けてくれて本当によかった」

「………」

ジャンヌは無言だった。

唇を震わせながら木陰へと入ると、着替えの男装を手に取った。

ジャンヌは着替えを終えると、座りながらわたしを見上げて言った。

「……ミシェル、不思議なんだ。ファビオはあんなに怖かったのに、ううん、他の男性も皆、触れられるとすごく震えたのに……」

「…ジャンヌ?」

ジャンヌは冷たくなった手でわたしの手を握り、呟いた。

「カミーユは……怖くなかった」

…………え………?

聞き間違いかと思った。

「ジャンヌ……今、なんて?」

「……カミーユは、怖くない。むしろ…安心したんだ。ミシェル…なんでかな?」

その理由を計りかねるようにジャンヌはわたしの瞳を見つめた。