再び薄笑いを浮かべるシセ。

「いや、簡単だよ。神に仕える美しい姉妹はどれほどの高値で売れるだろうね?」

「ジャンヌには手を出さないで!!」

わたしの悲鳴のような声に、シセが目を剥く。

パン、と響いた瞬間、わたしは勢いで壁に叩きつけられた。

打たれた頬の痛みも、今は怒りで感じられない。

「手を出さないでください…だよねぇ?でも君が姉の分も働くというなら、考えないでもないよ」

………ジャンヌ………。

ジャンヌは、神に愛された少女だ。

ジャンヌがその信念を貫くには、誰にも汚されてはならない。

――――ジャンヌは、神の恋人なのだから…………!



「…本当に、それでジャンヌには手を出さないんですね?」

どこかうわの空で、わたしは答えた。

「君が手に入るならそこまで欲張りはしないよ。全ては君次第だ」

「……わかり…ました」

………ジャンヌ………ごめんね。



……わたし、神に愛される資格が……なくなっちゃった―――――!!



“ミシェル…ミシェルはいつかきっと、神様に愛されるよ”




…………ジャンヌ―――――!!!