「俺、誰よりも夜深が大事だし何を犠牲にしても夜深が大事」


唯人君は相変わらず真剣な目で私を見つめる。



「…唯人君…私もだよ……」



「うん…ありがとう…。だから俺、雅人なんかに負けない。もう雅人に夜深を取られたくないんだ…」



「取られるなんて…雅人君が私を、まだ好きだなんてことはないし、私が好きなのは唯人君だけだよ…」




私は唯人君の手をギュッと握った。




「…雅人はまだ夜深を好きだよ。言われたんだ…」



「さっき?学校で…?」



「うん…。夜深を信じてないわけじゃないよ。ただ、雅人は魅力がありすぎるし何より、俺と同じ年月、夜深を想ってる」




唯人君はそう言うと、私を強く抱き寄せた。




「唯人君…」




「好きだ。夜深は昔のことなんてそんなに覚えてないだろうけど…俺はずっと夜深が好き」




「…うん……」




「だから……雅人のところには行かないで…」




唯人君は力無くポツリとそう呟いた。