唯人君は相変わらず黙ったまま、私を見つめている。
その強い目を見ると、我慢していたはずの涙がポロポロと溢れてきた。
「……っ…早く…帰れば…」
強がりでそう唯人に言い放つ。
唯人君は、黙ったままゆっくりと歩いて来て私の目線に合わせてしゃがみ込んだ。
「帰んないよ。」
その言葉に余計に涙が溢れてくる。
「……何で…よ…」
「だって、泣いてるし…それに……」
「…何……」
唯人君は私をチラッと見てから優しく私の頬を撫でた。
「…それに、寂しそうだから。」
「…っ」
寂しそう？
私が？
そんなの……
嘘だよ。
「っ…寂しくなんか…ないよ」
「そう？でも、俺は夜深といたいからここにいるよ。」
「…何…それ」
「俺の本心」
唯人君はそう言うと私の頬をまた撫でて、その指で涙を拭った。
